山からはじまる木の暮らし

「奈良の木」が住まいになるまで

心地よい木の住まい。ひとことに「木の家」と言えど、どのように育った木がどんな加工を経て家づくりの材となるのかは、あまり知られていないのではないでしょうか。山から伐り出された「奈良の木」がどのように扱われていくのか。山、市場、製材所、流通、工務店と木に関わる業種を訪ねてお聞きした「奈良の木」への想いをお伝えします。

※当ページは、2015年12月25日発売の雑誌【「奈良の木」BOOK】掲載のデータです。

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流通

株式会社奈良木建

「様々なニーズに対応する
精度の高いプレカット技術」

 「奈良の木」を流通させる上で、今やプレカットは大切な仕組みのひとつ。プレカット専門工場「ならプレ」は杉・桧など地元奈良県産材の加工技術に特化したプレカットオリジナルブランドです。「ならプレ」を生んだ『株式会社奈良木建』で代表取締役を務める谷畑勝三さんにお話をお聞きしました。
 プレカットとは、家を建てる際に必要な材木を施工現場で使用しやすいように事前に工場で加工しておくこと。同社では、2014年にプレカットの新しい機械を導入したことで生産効率が上がり、プレカットの新事業部として「ならプレ」を立ち上げました。加工が難しいとされている地元奈良県産の杉・桧においても、機械作業と大工の手加工をうまく使い分け、さまざまなニーズに対応した精度の高い商品に仕上げています。
 プレカットの実際の流れは、建物の間取り図の入力から。工務店からもらった住宅の間取り図をCADデータに落とし込み、必要な材と加工方法を洗い出します。こちらで使う材料は製材所や材木屋から仕入れた角材の状態のもの。材を機械にセットすると、CADデータがプレカット機械に指令を出した通りにロボットアームがあらゆる角度で木材を加工していきます。この作業は従来、大工が手刻みで加工していたものですが、手間暇がかかる上、加工場所も必要になりコストも高くついてしまっていました。「ならプレ」では、機械ができる加工は機械に任せ、職人技でしかできないような繊細な加工はベテラン大工が手がけるなど、生産効率を上げつつも丁寧な加工を行っています。かつては建築現場で為されていたこの作業も、近頃では騒音や木屑など近隣からの苦情も多くなっているといいます。その点、工場で加工した木材を現場で組み立てるというこの方法は、工務店がスムーズに施工を行うのをサポートする重要な役割を果たしています。

「持ち込み材も歓迎する奈良県産材をつなぐ取り組み」

奈良県下にいくつかプレカット工場がある中で、特に同社が声をあげているのは、材の持ち込み加工を積極的に受け入れていることです。最近では奈良県産材を使うことへの意識が高まったことで、工務店の方で材料が手配されることが多くなり、材の加工だけの依頼も増えたといいます。持ち込み加工は工務店の大切な材料を預かることになります。カットの間違いや材へ傷をつけてしまうリスクがある為、本来なら避けたいものですが、谷畑さんは「地元奈良で需要があることは嬉しいこと。製材所や工務店など、たくさんのつながりを大切にして皆で奈良県産材を盛り上げたいので、持ち込み歓迎です。」と話します。

「奈良の気候風土に合うのはやはり奈良で育った木」

 奈良にはたくさんの良い木があれど、奈良で家を建てることに関してはまだまだ大手ハウスメーカーの住宅や、フランチャイズのローコスト住宅のシェアが大きいといいます。木の家は経年変化によって割れが入ったり色の変化がありますが、温かみがあり音の響きも良いため、そこに住む人は愛着や親近感を持つことができます。「奈良の木」の良さをもっと知ってもらい、地元奈良で木の家を建てたいと思ってくれる方を増やしたい。そのためには、地元を中心に細かいオーダーにも対応し、製材所や工務店などと協力しながら策を練っていかねば、と谷畑さんは話します。
 木は加工された後も呼吸をしていつまでも生き続けます。「奈良の木」で作った家は、奈良の気候風土にもフィットするはず。わざわざ海外の材を使わずとも、この土地で生まれ育った材を使うことが一番自然な形だと考えています。

File.5 「工務店」

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