第2回 入賞
今井町の町家
歴史的な構造と情緒を残し快適な住環境を両立する家
こちらは、伝統的建造物群保存地区の今井町にあり、伝統的建造物に指定された築100年以上の町家をリノベーションした住まいです。柱、壁、屋根などに、傾き、歪み、腐朽といった問題がありながら、安易に古材の除去や交換ができないという厳しい条件の中で、町家の文化的価値を可能な限り損なわず、現代の生活様式にマッチした改修を実現させました。耐震補強や文化財価値の保存という観点も含め、構造材と内装材の両方に、奈良県産材を使用しています。杉材を使用したフローリングなどの木目や色味といった自然の風合いを引き立てるために、金属製品や新建材の色を無垢材や古材の近似色として調和を図るという工夫がなされています。そのほかにも、昼光色のLEDスポットライト照明を採用することにより、暖かみのある明かりで、くつろぎの空間づくりを演出しています。また、間仕切壁や扉を極力なくして屋内を広く見せると共に、町家の特徴を生かして自然光を取り入れ、かつ風通しの良い構造に。そして断熱材を入れるなど、省エネ基準に適合した気密・断熱性能を確保したうえで、ガス発電・給湯暖房システムを導入。温水式床暖房を組み合わせ、杉フローリングの肌触りが楽しめる、緩やかな空調で快適な環境が作り出されています。
設計業者 | 一級建築士事務所 ささりな計画工房 |
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施工業者 | 河野建設 株式会社 (今井町区域街なみ環境整備協議会) |
奈良県産材納材業者 | 有限会社 東木材 |