第2回 審査員特別賞
精華町の古民家
- " 部屋の中央に白い箱を設置。白い箱は家族の安心の象徴 "
- " 土間には敷石を並べ、バスルームや個室へ行き来できるようにしました "
- " 日本の原風景を思い起こさせるような外観 "
- " 程よい距離感と家族の気配を感じることができるスタディールーム "
- " 倉庫として使われていた屋根裏を取り外し、立派な梁を残しました "
- " 窓からは緑あふれる庭を望むことが出来ます "
- " 吹き抜けの横は「カクレガ」と名付けた物置兼フリースペースに "
- " 子供部屋の奥は吹き抜けになっていてリビングを見下ろすことが出来ます "
- " 箱の中に階段を設置 "
- " 右側が新しく設えた白い箱 "
- " (Before) "
- " (Before) "
- " (Before)倉庫として使われていた屋根裏を取り外し、立派な梁を残しました "
- " (Before)箱の中に階段を設置 "
部屋の中央に白い箱を設置。白い箱は家族の安心の象徴
「田舎でのんびり暮らしたい」と京都府精華町に引っ越してこられたお施主様。自分たちの理想の住まいを叶えるべく探し当てたのは、築100年を越える昔ながらの土間やかまどを擁する古民家でした。梁や柱はしっかりしていましたが長年空き家だったため、外壁や室内の傷みは激しく、住めるようにするには大掛かりなリフォームが必要でした。そこで精華町にほど近く、ご主人のご出身でもある奈良の『アーキ・クラフト』に相談。古民家の良さは残しつつ暮らしやすい機能性を持たせるという難しい問題を、同社倉原社長と懇意にしている「多田正治アトリエ」の多田正治氏と「遠藤正二郎デザイン」の遠藤正二郎氏の、京都を中心に活躍している二人の若手建築家に設計を依頼し、この古民家再生プロジェクトを進めることになりました。まず二人が取り掛かったのは、土間を挟んで西側にある田の字の和室の壁を取り払い、更に天井の板も取り外し縦横に広がる大空間にしました。そこに比較的低コストで強度面・断熱性に優れたOSBボードを使った箱状の寝室をリビングの隣に大胆に設置。「就寝中は最も無防備な状態。安全面も考慮して、家の中に丈夫な箱をつくることでちょっとしたシェルターのようにしました」とお二人は語ります。
―――古きと新しき、そして吉野杉が融合した古民家に―――
1階の白い箱を中心にその周囲にLDK・縁側・スタディースペースを各空間、回の字で繋がるよう設置しました。また土間の左側にある、元かまどのあったスペースにはトイレと浴室、そして娘さんの勉強部屋を設置しました。程よく距離をつくりプライベートを確保しつつも、どこにいても家族の気配が感じられる空間を演出しています。
また、フローリングには吉野郡川上村林業組合青年部が運営している「川上さぷり」から仕入れる良質な吉野杉の無垢材を使用しています。
節が無く美しい木目の板を15㎜の厚みで贅沢に使用することで、反りやきしみもなく、箱に取り入れた新素材と共に、昔からの梁や柱と違和感なく融合させることに成功しました。「梁や柱は状態が良かったのでわざと壁をずらしてそれらを独立させ目立たせました。いいものは出来るだけ残して新旧の素材の対比を見せたかったんです」とは設計を手掛けた多田氏と遠藤氏。室内に設えた箱を白くモダンに仕上げたのもそのためだそうです。
古民家の良さと快適性を追求した設計、そして奈良の木の良さが感じられる住まいに「子供と一緒の時も夫婦二人の時も快適に暮らせる家になりました」と、お施主様も大満足の仕上がりになりました。
設計業者 | 多田正治アトリエ・ENDO SHOJIRO DESIGN |
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施工業者 | 有限会社 アーキ・クラフト |
奈良県産材納材業者 | 川上さぷり |