第2回 入賞
為心町の家
素材の呼応を味わえる 、緑の中にそっと佇む家
こちらは、向かい合う吉野杉を積み上げた壁とコンクリート打ち放しの壁が目を引く住まいです。木の柔らかな印象と、その真逆とも言えるコンクリートの硬い印象とがうまく混ざり合った独特の空間は、視線を向ける角度によって様々な表情を見せてくれます。
設計・デザインのコンセプトは、「“家”としての機能を満たしながらも、空間として、またオブジェとしても美しい建築」。空間意匠性を大切にしながらも、2世帯住宅としてバリアフリーや介護が必要になった際の使い勝手がしっかりと想定された、将来を見据えた住まいになっています。例えば廊下は、車いすでの回転が十分に可能な幅を確保。またトイレへのアクセスや外出の補助を容易にする間取りの工夫など、そこに暮らす家族のことを大切に考えた配慮が至る所に施されています。デザイン面では、立体としての複雑な形状を、大工による手刻みの加工で実現させた箇所が多数。その技の匠さは「現し」として採用され、屋内空間からも感じられるようになっています。構造軸組はすべて吉野杉・桧、さらに階段や床材としても吉野産の杉が使われました。庭には多くの木々や石が配され、四季の移ろう風景を屋内から大きな窓を通して楽しめる点も、こちらの住まいが持つ魅力の一つです。
設計業者 | Architectural Design 家吉 |
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施工業者 | 株式会社 松彦建設工業 |
奈良県産材納材業者 | 阪口製材所 |